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東京高等裁判所 昭和35年(く)35号 決定 1960年3月22日

少年 T(昭一五、二、五生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は、附添人提出の抗告申立書記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。

ところで、本件抗告理由の要旨は、原決定は少年法第九条の調査方針に違反するか、又は同条の調査方針を履踐しない法令の違反があると共に、少年を特別少年院に送致する旨の決定は著しき不当の処分であると思料すると謂うにある。

仍つて右所論に基き本件記録及び添附記録の全部を精査し、原決定を仔細に検討勘案すれば、原裁判所は家庭裁判所調査官をして少年保護者又は関係人の行状、経歴、本質、環境等の調査をなさしめて居り、且つ少年鑑別所の鑑別の結果、警察官作成の各供述調書の記載等を考慮して審判をしていることが優に窺われるのであつて所論の如き調査方針に法令違反があるとは到底認め難い。又原決定理由の罪となるべき事実は諸般の証拠により優にこれを認めることができると共に、記録上証拠に現われている本少年の性格、非行歴、家庭環境等諸般の情状を綜合考察すれば、本少年の健全なる育成を期するためには同人を特別少年院において矯正教育を受けさせる必要があるものと認められるのであつて、抗告申立人所論の総べてを参酌するも原決定にはいささかも不当の廉は存しない。

仍つて少年法第三三条第一項に則り主文のとおり決定する。

(裁判長判事 渡辺好人 判事 堀義次 判事 目黒太郎)

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